健康法の話をさらに進める前に、私と競馬の出会いのお話をしておきたいと思います。それは今から51年前の1966年、当時の私は東京大学で社会学を専攻していました。
その頃もスポーツ誌はよく購読していたのですが、ある日、「今年のダービー売上20億円へ」という記事が目に飛び込みました。
当時の20億円といえば、今に換算すると10倍の金額です。まだまだ競馬は市民権を得ておらず、電車の中で競馬新聞を広げていると、周囲から怪訝な顔をされるという時代です。それなのに、こんなにも巨額な市場となっている。
「それほど人びとを魅了するのは、なぜなのか。社会学の学生として、その現象を一度見ておかなくてはならない」。そんな好奇心から、中山競馬場に初めて足を運んだのでした。
あの時、パドックでサラブレッドを見た瞬間の衝撃は今でも忘れません。すばらしい筋肉、優雅な趣、均整のとれた肢体。「走る芸術品」とでも評したくなる、その美しさに圧倒され、ひと目でとりこになってしまいました。イギリスで競馬が「キング・オブ・スポーツ」と呼ばれていることにも納得です。
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