劇的な天皇賞制覇のあと、陣営は次なる目標を当初のマイルCS連覇から、香港カップ(G1 シャティン芝2000m)に切り替えた。
いまの充実ぶり、いまの勢いなら海外G1制覇も夢ではない。これまでも多くの挑戦をして、アグネスデジタルはそれに応えてきた。
流れがいいときは、すべてがうまくいく。香港カップ当日も、それを象徴するかのように追い風が吹いていた。
先に行われた香港ヴァーズでは武豊騎乗のステイゴールドが神がかり的な差し切り勝ちをおさめ、香港マイルでは福永祐一騎乗のエイシンプレストンが鮮やかな追い込みを決めて勝利を手にしていた。この日は間違いなく日本馬に流れがきていた。
先にレースを終えた武と福永が喜び合っている。その様子を見て、自分もその輪に加わって喜びを分かち合いたい、四位は心底そう思った。
12番枠から好スタートを決めたアグネスデジタルは、先頭を伺うかのような勢いでスタンド前を通過したが、1コーナーでは内の数頭を行かせて好位に控えた。UAEのトブーグがマイペースで先導し、アグネスデジタルは外目の好位、5番手を追走する展開になった。
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