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キタサンブラックの活躍は日本経済復活ののろしか

キタサンブラックの活躍は日本経済復活ののろしか

第9章

キタサンブラックの活躍は日本経済復活ののろしか

日本経済から読み解くテイエムオペラオー 偉大な賞金王の記録

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 もうひとつ、日本の景気とは別に、興味深いデータがある。

 第1章でも見た「獲得賞金ランキング」の図を、再度、見てほしい。

賞金ランキング

<賞金ランキング(2018年2月現在)>

 このランキングを見て、netkeiba.comのスタッフが示唆に富む指摘をしてくれた。

「3位以下の馬はみな、海外遠征していますが、1位と2位は海外に行っていませんね」

 なるほど、鋭い。ベスト10の馬のうち、キタサンブラックとテイエムオペラオーの上位2頭だけが、海外遠征に行っていない。

 もちろん、海外には賞金の高いレースもたくさんある。そこで勝てれば(為替の影響は受けるだろうが)、多額の賞金を獲得できる。

 だが、これはいわば「ハイリスクハイリターン」。海外遠征せずに日本で走っていれば、もっと稼げただろうという馬もいるし、日本ではあまり稼いでいないが、海外で多額の賞金を手にしてこのランキングに載っているという馬もいよう。

 さらには「海外挑戦はお金じゃない。ロマンなのだ」という考え方も十分に理解できるし、むしろ「競馬はロマンだ」と声高に叫びたいくらいだ。

 だが、結果としては、日本でしっかり走った馬が16年間、賞金王の座を守り、日本でしっかり走った馬がその座を奪ったのも事実だ。

 JRAのG1レースの賞金が久々に上がり、そして国内でそのJRAのレースをしっかりと走ったキタサンブラック。そう考えると、キタサンブラックが賞金王の座を奪ったのは、ある意味、必然だったのかもしれない。

 何度も言うが、筆者は「キタサンブラックとテイエムオペラオーはどちらが強いのか」を問いたいわけではない。また、客観的なデータからは「キタサンブラックは戦績でテイエムオペラオーを上回ったわけではなく、JRAの賞金が上がったから賞金王になれた」ということになるのだが、これはキタサンブラックの強さをいささかも貶めるものではない。

 むしろ、「とんでもなく強かったテイエムオペラオーの獲得賞金を超えたすごい馬」がキタサンブラックだという認識だ。

 さて、ここまで見てきた上で、もうひとつ、期待も込めて述べておきたいことがある。それは、「キタサンブラックが賞金獲得記録を抜いたことは、日本が不況から脱却し、かつてのような経済大国日本に向かい始める象徴的な出来事なのではないか」ということである。

 JRAのレース賞金が横ばいとなった期間、それこそがまさに日本の「失われた20年」だった。その賞金が上がり始め、キタサンブラックが賞金王となった。これは少なくとも、「JRAの失われた20年」の終焉を意味するのではないか。

 前章で見たように、日本の景気とJRAの景気がリンクするのであれば、これから日本の景気もよくなっていくと考えられないだろうか。

「こじつけだ」と言われそうだが、やはり期待せずにはいられない。日本の景気のためにも、競馬界の繁栄のためにも。

(写真:2018年キタサンブラック引退式/京都競馬場)

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