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団結する日本馬たち

団結する日本馬たち

第3章

団結する日本馬たち

砂漠の地で成就した日本競馬の悲願 ヴィクトワールピサ

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 この年、ドバイにはヴィクトワールピサを含め、5頭の日本馬がやって来ていた。

 UAEダービーに出走するレーザーバレットが1頭遅れて3月17日に日本を発った以外は、ドバイシーマクラシックのルーラーシップ、そしてドバイワールドカップのヴィクトワールピサ、トランセンド、ブエナビスタという4頭はみんな同じ便で日本を出発していた。

 各馬のスタッフたちは、ドバイに到着して間もなく、母国で大きな災害が起きたことを知る。なかにはトレーニングセンターの厩舎関係者だけでなく、最も被害の酷かった地域のひとつである宮城県の育成牧場から来ていたスタッフもいた。

 遥か異国の地で、母国で苦しむ人々のことを心配しながら、目の前の愛馬を万全の状態に仕上げることに集中しなければならない日本人スタッフたちは、自然と厩舎の垣根を超えて情報を交換し、協力し、何より励まし合うようになっていく。

 ちなみに5頭は、ルーラーシップとヴィクトワールピサが同じ角居厩舎という以外、みんな違う厩舎の馬だった。とくにドバイワールドカップに出走する3頭は、直接同じレースで戦う敵なのだ。にもかかわらず、そこには「チーム・ニッポン」と呼ぶしかない空気が醸成されていた。

 そんなスタッフたちは、日本の国旗と「HOPE」(希望)という言葉がプリントされたポロシャツを協力して作り、15日の調教から揃って着用することとした。

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