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異例のローテーション、32年ぶりの美酒

異例のローテーション、32年ぶりの美酒

第3章

異例のローテーション、32年ぶりの美酒

タニノギムレットとウオッカのダービー史上唯一父娘制覇の偉業

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 タニノギムレットの陣営が、NHKマイルカップ参戦を表明した。負けたとはいえ皐月賞で1番人気に支持され、ダービーでも同様に1番人気が予想される最有力馬だ。現代競馬における一般的な感覚からすると常識はずれの一手であり、その決断にファンやマスコミは驚かされた。

 しかしあとから振り返ってみると、この陣営、つまりはオーナーの谷水雄三、調教師の松田国英にとっては自然な選択だったように思えてくる。

 先述したように、谷水の父信夫は、タニノムーティエをスプリングS→皐月賞→NHK杯→日本ダービーというローテーションで使い、3勝2着1回という好成績を収めた。一部、「NHK杯(芝2000m)」から「NHKマイルカップ(芝1600m)」と名称や条件は変わっているが、それ以外はほとんど同じといってよい。

 調教師の松田も、のちに“マツクニローテ”という言葉が定着するほど、NHKマイルカップ→日本ダービーというローテーションにこだわりを持っている。タニノギムレットの前年にはクロフネ、以降も2004年キングカメハメハ、2010年ダノンシャンティなどがまさに同じようなレース選択をしている。この3頭は皐月賞には出走していないため、その点ではタニノギムレットと違いはあるが、松田厩舎所属の馬にとってダービーの前にNHKマイルカップを使うことはめずらしいことではないのである。

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