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スポーツライターの視点と筆力――虫明亜呂無

スポーツライターの視点と筆力――虫明亜呂無

第5章

スポーツライターの視点と筆力――虫明亜呂無

競馬を愛した文士たち(下巻)

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 競馬ライターの先駆者が井上康文なら、日本のスポーツライターの草分けと言うべき書き手は虫明亜呂無(むしあけ・あろむ、1923-1991)である。

 文芸、映画、音楽などについても書いていたので「評論家」として紹介されることも多かった。

 競馬にも精通しており、馬、騎手、レース、そして競馬場の風景などを、独特の美しい文体で描写した。

そして、僕は今、競馬を見ている。僕の過去のすべてが競馬を見るために、必要であった。僕の貧困、失意、そして、なにか遠い知らぬものへの情熱。幼いが、稚拙だが、激しい心のどよめき。そうしたすべての僕の過去と現在が、競馬を見ている

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