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インドに消えた稀代の名馬

インドに消えた稀代の名馬

第4章

インドに消えた稀代の名馬

世界史から学ぶ競馬(上)

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 世界史上、騎馬に関する最初の馬書を残したのはギリシア人であった。そのなかでも、とくに名高いのがクセノフォンの『馬術論』である。著者は哲学者ソクラテスの弟子であり、軍隊の指揮官でもあった人物。そこには、こんなことが書いてある。

「馬が怖がるときには叱らずに落ち着かせ、何も怖くないことを教えてやれ」
「騎乗者の指示を上手にやったときには、喜ぶところを触って誉めてやれ」

 こうした騎乗者の心得の他にも、調教や運動の仕方から飼い付けの方法、さらには馬の選び方にまで話は及んでいる。その基本方針は、馬を自然に動かすということにある。今読み返しても驚くほど馬の心理に気を配っているのが、クセノフォン『馬術論』である。

 この理論の最大の後継者といえる人物が、古代マケドニア王国の英雄アレクサンドロス大王(紀元前356〜323年)であり、その最強の愛馬となったのがブケファロスである。

 アレクサンドロス大王の大遠征といえば、誰もが知っている歴史上の偉業だ。この遠征を彼の年齢を加味していえば、「若干20歳にして王位につき、30歳になる前に、人に知られていた世界の大半を征服し、32歳で他界した人物にまつわる物語」である。まさに英雄であろう。

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