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素質を目覚めさせた晩成の血

素質を目覚めさせた晩成の血

第4章

素質を目覚めさせた晩成の血

その“もどかしさ”が好きだった 〜ステイゴールド物語〜

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 展開に不利があったにもかかわらず、最後の差し脚だけで3着に入ったデビュー戦。当然、次戦には大きな期待がかかった。中2週で迎えた折り返しの新馬戦、阪神の芝2000m。このレースには、前走1番人気だったオースミサンデーもエントリーしていたが、前走の展開を知る多くのファンはステイゴールドを16頭中の1番人気に推していた。

 ところが、レースではスタートからまるで行きっぷりが悪く、3コーナーあたりでまったく手応えをなくしてしまった。ステイゴールドは、悠々と先頭でゴールするオースミサンデーの遥か後方でもがき苦しんでいた。結果は、大差でのしんがり負けだった。

 関係者、いや、ファンにとってもまさかのレースだったが、その原因は肩跛行。鞍上のオリビエ・ペリエはレース後「スタート後にガクッとしてからは追えなかった。それにソエを気にしていた」と語った。

 立て直しの一戦は、年明け2月の京都競馬、ダート1800mの未勝利戦だった。このレースでも1番人気に推されたステイゴールドだったが、ここで生来の気性が顕わになる。

 後方からの競馬となり、砂をかぶったのを嫌ったのか、4コーナーで大きく膨らんで逸走。ここから長くコンビを組むことになる鞍上の熊沢重文を振り落とし、競走中止となってしまった。なお、ステイゴールドがダート戦を走るのは、50戦中、後にも先にもこの一戦だけである。

 勝ちにいったレースで大失態を演じてしまい、JRAからは3週間の出走停止と調教再審査の処分を受ける。そして、3週後の3月22日、阪神競馬場での芝2000mの未勝利戦に挑むこととなった。ここからステイゴールドは、将来を暗示するかのようなレースぶりを見せることになるのだが、もちろん、このときはまだ誰も、ここからの2戦がこの馬の将来を暗示しているなどということには気づいてもいなかった。

 このレースでも4コーナーで外に行きたがる素振りを見せたが、なんとか頑張り、クビ差の2着と好走。次戦は中3週、京都の芝2400mの未勝利戦。ここでは、外に逃げる癖を抑えるべく、前半から内に入れて追走。いい脚を使ったが、早めに仕掛けたタマモイナズマが止まらず、またしても2着に終わった。

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