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ゴールドシップが内包していた「かわいらしさ」の正体に迫る

ゴールドシップが内包していた「かわいらしさ」の正体に迫る

第1章

ゴールドシップが内包していた「かわいらしさ」の正体に迫る

ゴールドシップ  多くのファンを虜にした芦毛の“気分屋”

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 某検索サイト(検索エンジン)で「ゴールドシップ」と入れてみると、検索補助(予測変換)機能が自然に作動して、いろいろな用語が出てくる。上から「ゴールドシップ」(そのまま)、「ゴールドシップ産駒」「ゴールドシップ 伝説」「ゴールドシップ かわいい」「ゴールドシップ 見学」…などとなっていた。この組み合わせで検索をした人が多いということだろう。

 なかでもひときわ異彩を放つ検索ワードは、4つめの「ゴールドシップ かわいい」だ。馬好きにとって、馬はかわいい。だいたい、どんな馬もかわいい。ならば、なぜあえて「馬名+かわいい」という検索をするのだろう。「ゴールドシップ かわいい」という検索をした人は、何を調べようとしていたのだろうか。

 それを知るには、とりあえず実際に検索してみるのが手っ取り早いと思い、検索してみた。すると、「ゴールドシップは、なぜあんなにかわいいのか」「ゴールドシップがあれほど人を魅了するのはなぜか」といったブログや、いわゆる「まとめサイト」が次々と出てきた。

 どのサイトも、これでもかというくらいにゴールドシップへの愛情を語っている。面白いのは馬名の呼び方。そのまま「ゴールドシップ」と呼んでいるのはもちろん、「ゴルシ」と呼んでいたり、「白いの」とか「白いヤツ」などと呼んでいるケースもあった。まとめサイトは、まさに「ゴルシ愛」の深さ比べの様相を呈していたのだ。

「ゴールドシップ かわいい」の検索者たちは恐らく、具体的な目的をもって検索したのではなく、自分の気持ちを表現してくれるサイト、自分の気持ちを表現できるサイトを探して検索したのではないだろうか。

 そして、検索ワードが物語るように、ゴールドシップが多くの人に愛された最大の理由は「かわいいから」に違いない。ただ「かわいい」という語は、昨今の若者が上手に使いこなすように非常に広く、深い意味をもっている。かなり抽象度の高い用語なのだ。普通に「かわいらしい」を意味する場合もあれば、「ブサかわいい」「キモかわいい」などちょっと他と変わっている特徴を「かわいい」と表現することも少なくない。

 この「かわいいから好き」だけでは、ゴールドシップのどんなところがかわいいのか、どうしてこれほどまでにかわいいと感じさせてくれるのか、は見えにくい。「いや、もう、とにかく『かわいい』んだよ」と言いたくなる気持ちもわかるが、やはり、ある程度具体化して、多くの人と「かわいい」を共有したい。

 ということで、「ゴールドシップは、なぜあれほどまでに魅力的だったのか?」を深く探っていきたい。もしかしたら、当時は気付かなかった、新たな魅力を発見できるかもしれない。あるいは、多くの人が気付いていたのに、筆者だけ気付いていなかったすごい魅力に出会えるかもしれない。まずは、ゴールドシップがなぜあれほどまでに愛されたのか、その要因を列挙していこう。

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