目次

フジキセキ、キンシャサノキセキ

フジキセキ、キンシャサノキセキ

第1章

フジキセキ、キンシャサノキセキ

血統ビーム タイプ別分類ガイド サンデー系編Vol.2

目次

 近代競馬がサンデーサイレンス抜きには語れないのは、前作のVol.1を見てもらってもご理解いただけたと思う。現代の日本のG1競走において、出走馬の大多数はサンデーサイレンスの血を有しており、だからこそ、同じサンデー系でも“細かなタイプ分け”が重要になってくる。とくに、芝マイル以上では「サンデーの血がどのように遺伝したか」を「タイプ分け」することが、血統面における馬券攻略の近道だ。

 ここではVol.1では取り上げることができなかった、サンデー系種牡馬の現役時代の戦歴、産駒の傾向、そして“血統構成”を分析。「スピードがより強いサンデー系」、「スタミナが強いサンデー系」、「パワーが強いサンデー系」などのタイプに分類することで、大まかな傾向が表れている。

 なお、血統のタイプ分け、およびタイプ別の競走データは「亀谷ホームページ」の「スマート出馬表」にて無料公開している。ぜひ参考にしていただきたい。「スマート出馬表」ではサンデー系種牡馬をスタミナ寄りの“Tサンデー系”、スピード寄りの“Pサンデー系”、ダート寄りの“Dサンデー系”、ローカル寄りの“Lサンデー系”に分類している。

 このVol.2では、主に“Pサンデー系”および“Dサンデー系”に分類されるサンデー系種牡馬を個別に分析した。例えば、同じフジキセキの産駒でもPサンデー系に分類されるキンシャサノキセキとDサンデー系のカネヒキリでは産駒の適性はまったく異なるし、血統構成がすべて同じディープインパクトとブラックタイドですら、産駒は“大雑把に見れば”似ている部分はあるものの、“細かく見れば”当然、異なる。

 本書では前作に引き続き、各サンデー系種牡馬の「大雑把」に似ている部分と「細かな違い」について、その差異を詳しく解説している。前作と合わせて読めば、主なサンデー系種牡馬の血統的な特徴を理解でき、そして馬券攻略の糸口がつかめてくるはずだ。

----- フジキセキ -----

血統マニュアル

◆米国、スプリント色も強いが、クラシック勝ち馬も出す万能型

 サンデーサイレンス産駒初年度産駒で、初期の後継種牡馬の代表がこのフジキセキだ。母父は、フランスダービー馬のルファビュリュー。母系には、芝1000mでの速力比べの名血インリアリティの血を持つ。 サンデー系種牡馬のなかではダート適性の高い産駒が多く、クラシック勝ち馬も出したが、ディープインパクト、ハーツクライと比べると短距離、ダート指向が強い種牡馬。一瞬でスピードに乗る反応の速さは、サンデー系種牡馬でもトップレベル。スプリントG1勝ち馬も複数出した(キンシャサノキセキ、ストレイトガール)。ただし、加速の速さに勝る代わりに、対極にあたるトップスピードや末脚の伸びは、ディープやハーツクライには劣る。

 母父の産駒にダートG1勝ち馬サウンドトゥルー、芝1000m重賞勝ち馬で、スプリンターズS2着がある2012年のサマースプリントチャンピオン・パドトロワがおり、父としてだけでなく母父としてもパワーやスプリント指向のスピードをサポートしている。

血統マニュアル

▲2012年キーンランドC / パドトロワ

----- キンシャサノキセキ -----

血統マニュアル

◆フジキセキのパワー、スプリント力をさらに強化

 フジキセキの加速力とパワーを、さらに強化したのがキンシャサノキセキだ。南半球産馬で、サンデー系のなかでは芝1200m適性、ダート適性は高い。日本の馬よりも半年近く生まれが遅いにもかかわらず、新馬戦から2連勝。NHKマイルCでも3着がある。半年遅れのハンデがありながら、3歳前半からG1級のパフォーマンスを発揮したのは体力の完成が早く、気性も前向きだったからに他ならない。その後は、芝1200mG1でも勝利し、スプリント適性の高さを示した。

 産駒も2歳戦、1400m以下のスピード勝負に強い馬が多い。パワーも兼備している馬が多く、2歳限定戦のダート1400m以下は人気信頼度がとくに高い。

© Net Dreamers Co., Ltd.