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記録が語る有馬記念 配当編

記録が語る有馬記念 配当編

第14章

記録が語る有馬記念 配当編

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 払戻金の記録もなかなか興味深いものがある。

 2001年は勝ったマンハッタンカフェは3番人気だが、13番人気という最低人気で2着に入ったアメリカンボスがこの波乱の立役者となった。なかなか買えない馬券であるだけに、この年は9.11の同時多発テロがアメリカのマンハッタンで起きた年だったことから、この組み合わせを買っていた人がいたという話がニュースになったりした。

 枠連の最低配当金額であるシンボリルドルフとミホシンザンの組み合わせで160円というのも、この2頭の力が抜けていることを見抜いた競馬ファンの目が正しかったことを証明している。馬単、ワイド、三連複、三連単のいずれも最低払戻を記録した2016年のレースは、サトノダイヤモンド→キタサンブラック→ゴールドアクターとすんなり人気順にゴールインした結果の配当であった。

■最高払戻金額

・単勝:ダイユウサク 14番人気 13,790円(1991年)
・複勝:アメリカンボス 13番人気 2,560円
・枠連:マンハッタンカフェ&アメリカンボス 25番人気 20,680円
・馬連:マンハッタンカフェ&アメリカンボス 51番人気 48,650円
・ワイド:アドマイヤモナーク&エアシェイディ 86番人気 28,200円
・馬単:マツリダゴッホ→ダイワスカーレット 92番人気 69,020円
・三連複:ダイワスカーレット&アドマイヤモナーク&エアシェイディ
     220番人気 192,500円
・三連単:ダイワスカーレット&アドマイヤモナーク&エアシェイディ
     1052番人気 985,580円

■最低払戻金額

・単勝:ハクチカラ 1番人気 100円(1957年)
・複勝:メイジヒカリ、ハクチカラ、シンボリルドルフ(1984、1985年)、ディープインパクト 1番人気100円
・枠連:シンボリルドルフ&ミホシンザン 1番人気 160円
・馬連:テイエムオペラオー&メイショウドトウ 1番人気 380円
・ワイド: サトノダイヤモンド&キタサンブラック 1番人気 200円
・馬単:サトノダイヤモンド→キタサンブラック 1番人気 770円
・三連複:サトノダイヤモンド&キタサンブラック&ゴールドアクター
     1番人気 1,050円
・三連単:サトノダイヤモンド→キタサンブラック→ゴールドアクター
     3番人気 3,940円

2016年は稀に見る堅い決着だった(撮影:下野雄規)

 最後に観客数と売上高の推移を見ておこう。

 第1回の1956年は27,801人だが、これとて有馬理事長はじめ関係者の努力で改修なったばかりのスタンドができたお陰の、当時としては記録的な入場者数なのである。しかしその10年後、シンザンの勝った1965年の第10回には、その倍の54,859人を記録している。ハイセイコー人気の1973年には、さらにその倍近い96,727人となり、以後は9万前後で推移する。オグリキャップの引退レースとなった1990年は、中山競馬場のスタンドが新装なったこともあり、一気に177,779人にふくれ上がり、この数字は未だ破られてはいない。

 売上高を見ても第1回の81,248,400円という数字は信じ難く、隔世の感がある。高度成長期の1965年のシンザンの年が616,094,600円にはね上がり、翌66年が約14億円、さらに67年が約21億円、68年が約32億円と時代を反映し、ウナギのぼりの増加ぶりを示している。イシノヒカルが勝った1972年にはついに100億円を突破、わずか7年後のグリーングラスが引退の花道を飾った1979年には約225億円を達成した。この記録を大きく上回ったのはオグリキャップの1990年の480億円だったが、その後バブル景気もあって売り上げ額は天上知らずの上昇を続け、サクラローレルの勝った1996年に記録した87,501,042,400円でピークに達し、この金額はギネス記録に登録され、この記録は今も有馬記念の売上最高金額である。

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