作家の高橋源一郎氏は、2013年の有馬記念時、新聞紙上での予想でゴールドシップに◎を打ち、こんなふうに述べている。
「人気は2頭のステイゴールド産駒(※筆者注:オルフェーヴルとゴールドシップ)にかぶった。ファンはみんな、この2頭が究極の『困ったちゃん』であることも知っている。圧倒的な能力、だが、途方もない気まぐれ。楽勝して納得、惨敗しても納得。そんな馬が2頭も揃って、まともな神経な持ち主なら馬券には手を出さないし、予想だってできない。けれど、予想が無理なら夢想は可能だろう。(中略)3コーナーから2頭並んでのロングスパート。競り合って、結局勝つのがゴールドシップ。これがこの日もっとも見たい光景だ」
ゴールドシップ(と、オルフェーヴル)の魅力、愛される理由を小さなコラムの、さらに小さな一部分にギュギュッと凝縮してうまく述べ切っている。もっとも、ゴールドシップの「惨敗」ぶりに比べたらオルフェーヴルのそれなどかわいいもので、馬券的にも、買う際に必要となる決断力の差は大きく異なるのだが、やんちゃな「困ったちゃん」ぶりに関してはまさにこの通りだろう。
多くのファンは、ゴールドシップがとんでもなく強い馬だと知っている。向こう正面からスパートして、3000mのレースを勝ち切る馬はそうそういやしない。でも、気まぐれ、やんちゃといった性格がその走力にブレーキをかける。
吠える、威嚇する、立ち上がる、暴れる…競走馬でありながら、走ること以外の部分でキャラクターが立ちすぎている。
「もう一瞬たりとも、目が離せない」
ひと言でいってしまうのもはばかられるのだが、やはりこれがゴールドシップの最大の魅力なのだろう。
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