その一方で先述したように、入社したばかりの岩崎氏は、当時の日本生産界では珍しい、「騎乗育成スタッフ」でもあった。
「当時の生産界では、1歳時の追い運動だけでなく、実際に人が馬の背中に乗る育成トレーニングまで行っていた牧場はなかったと思います。だからメジロ牧場の馬はこの頃の競馬で結果を残せたのだと思います」
当時、メジロ牧場で行っていた追い運動とは、1歳の春から馬場を用いて、前後からスタッフが騎乗した追い専用の馬で集団を挟み、運動量を増やすだけでなく、闘争心も引き出すというやり方だった。
こうして鍛えられた育成馬たちは、1歳の秋から馴致を始めると、辺り一面に雪が高く降り積もった冬季間にも、ブルドーザーなどを用いて雪を踏み固め、その上での騎乗調教を続けていく。
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