菊池寛の影響で、吉川英治、舟橋聖一、富田常雄、吉屋信子といった著名な文士が馬主となった。戦前戦後の競馬場はさながら文壇サロンのように華やいだ。
高度成長期の1970年代前半も、結城昌治、佐野洋、遠藤周作、三浦朱門、古山高麗雄、三好徹、山口瞳、梶山季之といった作家たちが競馬場に集まっていた。
三好徹が、保田隆芳の引退レースを描いた短編「鞍上の人」は、ノンフィクションノベルの傑作である。また、沢木耕太郎が76年に上梓した『敗れざる者たち』所収の「イシノヒカル、お前は走った!」は、競馬ノンフィクションの白眉と言える。
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