ある時期から、牝馬の特徴がトレセン内で一気に広まっていった可能性について、前述のコラムで、笹田和秀調教師は「エアグルーヴが結果を出したことで、伊藤雄二厩舎のノウハウが広まっていったというのもあるかもしれません。（中略）あの馬のおかげで、いろんなところで話す機会が増えましたからね」と述べている。

　ウオッカの角居勝彦調教師も「エアグルーヴが天皇賞を勝ったときには『こんな時代になったんだ』という驚きの声がありましたね。当時は施設や環境もいまほど整っていない時代ですから、本当に厩舎スタッフ一丸でというか、マンパワーが大きかったように思います。伊藤雄二先生や笹田先生が苦労されたというお話も、よく聞きました」と語っている。

　エアグルーヴの活躍で、牝馬の特徴やその特徴を活かすための調教ノウハウが広まったことで、牝馬の活躍が増えたという仮説は十分に成り立ちそうだ。

　エアグルーヴが活躍したことの影響力は、ノウハウの拡散というだけにはとどまらなかったと考えられる。笹田調教師は、同コラムでこうも述べている。