栗東が暑くなり始めた6月29日、スペシャルウィークは北海道のノーザンファーム空港牧場に放牧に出された。そこにはケガでリハビリ中のグラスワンダーが、急ピッチで調整されていた。とくに併せ馬をするわけではないが、注目される馬が揃って放牧に来ていることは、マスコミも注目していた。
この注目は、少々厄介な問題も引き起こしていた。スペシャルウィークがコースを走るたびに、カメラのフラッシュがいくつも光る。スペシャルウィークは、このカメラのフラッシュに驚いて、制御不能に陥ってしまうことが何度もあったのである。やがて、フラッシュが光らなくても、カメラが構えられているのを見ただけで制御不能になるようになってしまった。
白井秀幸厩務員は「カメラなんて、競馬場で見慣れているはずなのに」と不思議がったが、突如、制御不能に陥ってしまうのは、大きなケガにもつながりかねない。そう考え、仕方なく、マスコミはすべてシャットアウトすることにした。牧場スタッフが撮影した写真を、報道陣に配ることにしたのである。
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