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イギリス最後の三冠馬

イギリス最後の三冠馬

第4章

イギリス最後の三冠馬

競馬とバレエ 〜ふたつのニジンスキー伝説〜

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 少々話が脱線してしまった。話をニジンスキーに戻そう。そう、サラブレッド・ニジンスキーに。

 まずは競走成績を見てみる。

NIJINSKYの競走成績

<NIJINSKYの競走成績>

見事な成績である。

 この映像こそ、ニジンスキーが“三冠馬”の称号を得た瞬間をとらえたものだ。

 では、あらためてニジンスキーの特徴を『サラブレッド血統事典1996年度版』(二見書房刊)から見てみよう。

カナダの偉大な生産者E・P・テイラー氏の傑作で、ゴールデンフリース、イルドブルボンなど次々と名馬を出し、日本でもマルゼンスキーが大活躍した。短距離から長距離まで強い万能型で、スピード、スタミナの両面に優れ、底力もあり、安定した活躍をする。3歳時から活躍出来る仕上がり早の血統でありながら4歳時にはさらに成長し、孫にも大レースで普段以上の力を発揮し、特に大レース勝馬が多く出ている。日本ではバックパサー牝馬との配合のマルゼンスキー、ヤマニンスキー、ラシアンルーブルが特に成功した。母の父としても特に優れている。
(『サラブレッド血統事典1996年度版』より)

 ここで試みとして、同じ『サラブレッド血統事典』ながら4年ほど昔の1992年版でのニジンスキーの説明を見る。

イギリスの三冠馬。2度2着になっただけという偉大な競走馬で、今世紀有数の名馬の1頭。カナダの偉大な生産者E・P・テイラー氏の傑作である。ゴールデンフリース、イルドブルボンなど次々と名馬を出し、日本でもマルゼンスキーが大活躍した。短距離から長距離まで強い万能型で、スピード、スタミナの両面に優れ、底力もあり、安定している。3歳時から活躍出来る仕上がり早の血統でありながら4歳時には更に成長する。日本ではバックパサー牝馬との配合のマルゼンスキー、ヤマニンスキー、ラシアンルーブルが特に成功した。また、ニジンスキーの全弟のミンスキーも優れた種牡馬となった。
(『サラブレッド血統事典』より)

 概ね、同じ内容だが、冒頭が違うのにお気づきだろうか。1992年度版にある「イギリスの三冠馬」の記述が1996年度版にはない(ちなみにWikipediaには載っている)。なぜであろう。以下、競馬史研究家・山本一生の研究に基づいて忖度してみる。



サラブレッド血統事典

1992年版(上)と1996年版(下)の『サラブレッド血統事典』より

 イギリスでは、セントレジャー、オークス、ダービーに続いて、1809年に4歳の牡馬と牝馬のための2000ギニーが創設され、1814年には4歳の牝馬のための1000ギニーが生まれた。ニューマーケットの1マイルで行われるこの3レースによって、いわゆる“クラシックレース”が顔を揃えた。

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