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空白の時代を乗り越えた優駿・エルコンドルパサー登場

空白の時代を乗り越えた優駿・エルコンドルパサー登場

第4章

空白の時代を乗り越えた優駿・エルコンドルパサー登場

世界に挑んだサムライサラブレッド 〜Part1・欧州編〜

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 凱旋門賞への挑戦が途絶えて10年の年月が流れ、ついに一頭の日本調教馬が動き出した。

 次の挑戦者は、1998年のジャパンC(G1)を制すなど日本で7戦6勝の成績を残し、翌春からヨーロッパ遠征に向かうことになる。IFHA(国際競馬統括機関連盟)によるレートは134ポンド、また英国の老舗競馬誌『タイムフォーム』によるレートも136ポンド、いずれも日本調教馬として現在も破られることのない最高値を記録している真の名馬、エルコンドルパサーが1999年の凱旋門賞に挑もうとしていた。

 スピードシンボリ、シリウスシンボリを凱旋門賞に挑戦させた和田共弘オーナーの熱意にも鬼気迫るものがあったが、この遠征で特筆すべき点は、エルコンドルパサーの渡邊隆オーナーが熱意だけでなく、20人以上のプロフェッショナルを集めたプロジェクトチーム結成するなど万全の体制を整えてフランス遠征に臨んだ点だろう。

 渡邊オーナーの右腕、二ノ宮敬宇調教師は当時46歳。エルコンドルパサーで1998年2月の共同通信杯4歳Sを制し、調教師として重賞初勝利。さらに5月のNHKマイルCも同馬で制して国内G1初勝利。エルコンドルパサーとともに競馬界の階段を着実に上りつめ、調教師として脂が乗り切ろうとしていた。

 この二ノ宮調教師と渡邊オーナーがプロジェクトチームの核となり、海外競馬に精通したアドバイザーと協議を重ねながら、凱旋門賞での勝利を最終目標とするフランス遠征に向けてのスケジュールが組まれていく。そして、その計画を完璧に実行するために、各分野のプロフェッショナルたちが集められた。

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