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64年ぶりの牝馬によるダービー制覇

64年ぶりの牝馬によるダービー制覇

第6章

64年ぶりの牝馬によるダービー制覇

タニノギムレットとウオッカのダービー史上唯一父娘制覇の偉業

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 ダービー挑戦をあきらめてオークスへ、と気持ちが傾きかけていた谷水だったが、調教師の角居からあらためて

 「ダービーとオークス、どちらに行くか」

 と問われ、逡巡した。牝馬同士で敗れたのだから素直に牝馬路線へという考えと、ウオッカの底知れない才能を信じてダービーに行くべきという思いが交錯していた。決めきれない谷水は、決断を角居に委ねた。

 角居は、「自分がわくわくするのはどちらだろう」と考え、ダービー挑戦を決めた。

 その意向はやがてマスコミに伝わり、各紙で報道された。好意的な見解ももちろん多かったが、一方では牝馬のダービー挑戦は無謀だという批判やオークスでダイワスカーレットに雪辱するべきという意見もあった。

 たしかに、過去の結果を見ると牝馬のダービー制覇は非現実的な話だった。2007年から30年さかのぼってみても挑戦したのはわずか3頭。G1実績のある馬もいたが、それぞれ25、17、13着と上位争いにすら加われていなかった。(ウオッカ以降も、2014年にレッドリヴェールが挑戦したが、4番人気12着と敗れている)

 しかし、角居には勝算があった。

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