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勝利で自身の引退に彩りを添えたラストラン

勝利で自身の引退に彩りを添えたラストラン

第10章

勝利で自身の引退に彩りを添えたラストラン

ジェンティルドンナ “貴婦人”という名の女丈夫

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 ジャパンC(G1)の前日に降り続いた雨は、当日の朝には上がった。しかし、芝は「やや重」、ダートは「重」。午後には芝は「良」にまで回復したが、馬場の内側は荒れて走りにくい状態だった。ジェンティルドンナは2枠3番。どうしても、内を走ることになるだろう。それだけが陣営の懸念材料だった。

 ダッシュよくスタートすると、ジェンティルドンナは7番手あたりに下げた。やはり内々を通らざるをえなかったが、それでもしっかりとした走りを見せる。しかし、直線を向いてもいつもの鋭い伸びがない。前を追うどころか、後ろからも差されての4着でのフィニッシュとなった。ジャパンC3連覇の夢はかなわなかった。

 鞍上のライアン・ムーア騎手はレース後、「前日の雨で馬場が緩く、この馬の持ち味の瞬発力を生かせなかった」と語った。

 石坂正調教師も敗因を「馬場状態」と判断した。そして、「完全燃焼したのなら、これで引退もあったかもしれないが、そうではない。馬場さえよかったらという心残りがある。もう一回。条件はベストとはいえないけど、有馬記念を使います」と述べ、有馬記念(G1)を引退レースとすることを明言した。

 引退レースに騎乗するのは、秋の天皇賞でも手綱を取った戸崎圭太騎手と決まった。この時点でこの年のリーディングジョッキーに輝くことがほぼ確定していた、まさに乗れている騎手だった。

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