衆議院議員の柿沢未途(かきざわ・みと)さん。国会議員きっての競馬通でもある
「世界のルドルフやはり強い。3馬身、4馬身、日本のミホシンザンを離す。日本最後の競馬、最後のゴールイン。ルドルフ圧勝いたしました。日本でもうやる競馬はありません。後は世界だけ」
これ、1985年の第30回有馬記念の盛山毅アナウンサーの実況です。
この実況を再現できたからこそ、私はテレビ番組のクイズ王になれたのです。
当時、大学生だった私は、若者に人気を博していたフジテレビの「カルトQ」という番組が好きでした。ジャンル別にマニアックな知識を競う、その道のオタクでなければ何を答えているのかも分からない、文字通り、カルトなクイズ番組でした。
「競馬」がテーマとなった回に、東大ホースメンクラブのメンバーだった私はこの番組に出場しました。競争率200倍のペーパーテストを突破した4人の競馬オタクを前に、出された問題が冒頭で、シンボリルドルフが勝った、この実況をそのまま再現して言い当てるというものでした。
私、この実況を答えられたんですね。それで、“カルトキング”の栄冠を手にした。忘れようったって忘れられない、思い出の有馬記念になったのです。
ちなみに他の問題で、「ミホノブルボンが菊花賞で敗れるまでの7連勝で2着につけた着差の合計」というのもありました(確か22馬身1/4とハナ差)。すごいでしょ。
私の時代、競馬実況と言えば関西テレビの杉本清さん(菊の季節にサクラ、に涙しました)が有名でしたが、フジテレビの盛山さんもなかなか味わい深い名実況を残しています。最近は、お二人のような聞かせる、耳に残る実況が少なくなったような気がします。
それにしてもシンボリルドルフはすごかった。無敗の三冠馬、そして七冠馬。和田オーナーに野平調教師、そして岡部騎手の妥協を許さない完璧主義は、当時の競馬ファンの印象に強く残っているはずです。稀代の人気者であった前年の三冠馬ミスターシービーを追い落とし、下の世代の二冠馬ミホシンザンを寄せつけず、憎ったらしいほどに強い馬でした。
ディープインパクトやオルフェーヴルが出てこようと、キタサンブラックが出てこようと、私たちの世代の中で「最強馬」と言ったら、やっぱりルドルフですね。これは永遠に変わらないと思います。
1985年有馬記念映像
柿沢未途(かきざわ・みと)
衆議院議員
1971年、ベルギー生まれ。東京都江東区在住。東京大学法学部を卒業後、NHK記者。その後、都議を経て、衆院4期目。みんなの党政調会長代理、結いの党政調会長、維新の党政調会長・幹事長、民進党役員室長など歴任。希望の党所属。
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