第2レースのアルクォーツスプリント、続くゴドルフィンマイルとプログラムが進むにつれて、空は徐々に暗くなり、照明の光が緑の芝と、そして灰褐色のタペタを煌々と照らしはじめる。
UAEダービーに出走した日本のレーザーバレットは9着に終わった。勝ち馬のタイムはやはり前年より1秒以上遅い。他にもゴドルフィンマイル、ドバイゴールデンシャヒーンと、オールウェザーで行われたレースはいずれもすべて前年より遅いタイムでの決着となっていた。
例年同様、派手なショータイムを挟んで行われた芝2410mのG1ドバイシーマクラシックで、日本のルーラーシップが逃げて6着に沈み、ランフランコ・デット―リ騎手がこの日2勝目を挙げると、いよいよ次が最後のドバイワールドカップだった。
ブックメーカーで最も人気を集めていたのは、芝2000mのG1英チャンピオンステークス連覇など、この距離に強いイギリスのトワイスオーヴァーだった。
トワイスオーヴァーは前年も出走して10着に敗れていたが、この年は現地の前哨戦マクトゥームチャレンジラウンド3を快勝しての臨戦。前日会見でヘンリー・セシル調教師は、蹄鉄を替えたことが奏功したと胸を張ったが、欧米の記者たちはそれでも同馬のタペタへの適性については半信半疑な様子で、しつこく質問を繰り返していた。
2番人気はアイルランドのエイダン・オブライエン厩舎が送り込むケープブランコとなっていた。前年の愛ダービー馬で、伸び盛りの明け4歳。芝2000mの愛チャンピオンステークスでは逃げて後続を5馬身半突き放しており、いかにもこの舞台は向きそうなタイプだった。
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