同じ三冠馬でもオルフェーヴルは苦杯をなめた。
2012年の天皇賞(春)。前年に三冠馬となり、さらに有馬記念でもブエナビスタなどの強豪古馬たちを一蹴して年度代表馬となったオルフェーヴルが単勝1.3倍という断然の支持を集めた。
前哨戦の阪神大賞典では破天荒なレースをして2着に敗れた。3コーナーで外に逸走し止まりかけたことにより大きなロスがあったが、それでいて勝ち馬のギュスターヴクライ(こちらは1枠1番で終始内々を走った)とはアタマ差の2着。
この敗戦で逆に評価を上げ、さらに個性派三冠馬として人気が急上昇した。他馬とは絶対的な能力に差があり、天皇賞でもアクシデントさえなければまず勝てるだろうと見込まれていた。
しかし、結果は11着、終始後方のままで見せ場すらない惨敗だった。調教再審査のために普段とは異なる調整過程であったことなどが敗因に挙げられた。前走の影響はファンが想像するよりもはるかに大きかったのだろう。
“らしさ”を失ったオルフェーヴルの一方で、のびのびと走り、このレースの主役となったのは
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