競馬ライターの先駆者が井上康文なら、日本のスポーツライターの草分けと言うべき書き手は虫明亜呂無(むしあけ・あろむ、1923-1991)である。
文芸、映画、音楽などについても書いていたので「評論家」として紹介されることも多かった。
競馬にも精通しており、馬、騎手、レース、そして競馬場の風景などを、独特の美しい文体で描写した。
そして、僕は今、競馬を見ている。僕の過去のすべてが競馬を見るために、必要であった。僕の貧困、失意、そして、なにか遠い知らぬものへの情熱。幼いが、稚拙だが、激しい心のどよめき。そうしたすべての僕の過去と現在が、競馬を見ている
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