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世界に広がる近代競馬の波

世界に広がる近代競馬の波

第10章

世界に広がる近代競馬の波

世界史から学ぶ競馬(下)

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 競馬好きの貴族・ダービー卿(第12代)は、エプソム競馬場の近くに宿屋を改装した「オークス館」という別邸を持っていた。エプソムで競馬が開催されるときには、ギャンブル好きの社交家として知られたダービー卿の友人たちで大賑わいだったという。

 あるとき、彼は3歳牝馬だけのレースを開催することを思いつく。3歳馬だけのレースは、すでにドンカスター競馬場でセントレジャーSが開催されていたが、“牝馬だけ”というのは、まだ実現されていないアイデア。また、セントレジャーSの発案者・セントレジャー大佐は、ダービー卿の叔父の戦友でもあった。

 ダービー卿のアイデアは1779年、オークスの創設という形で実現する。距離は1マイル半(約2400m)。18世紀前半までの競馬といえば、5歳以上の成熟馬による4マイル(約6400m)以上のレースで、しかも同じ馬たちが競走を繰り返して勝敗を決めるヒート制が主流だった。その点で、3歳馬による2マイルのレースとして始められたセントレジャーSも画期的だった(のちに距離は1マイル6ハロンに短縮)が、ダービー卿の発案によるレースはさらに距離を縮め、牝馬限定としたのである。

 着想を得た場所にちなんでジ・オークスと名づけられたこのレースの第1回の優勝馬は、ダービー卿が所有するブリジットだった。

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