牝馬3冠を制したジェンティルドンナの次走は、ジャパンC(G1)と決まった。これまでは同い年の牝馬との戦いだったが、次は古馬、そして牡馬、さらには「世界」との戦いになる。選択肢としては、牝馬限定のエリザベス女王杯(G1)も考えられたが、陣営がこの馬ならジャパンCでも十分戦えると判断しての選択だった。
石坂師はこの選択について「『牝馬限定のほうが勝つ率が高いのに』と周りからいわれたが、“4冠”より、牡馬相手のジャパンCでよい競馬をするほうがいいと思ったのが一番。あとは、女王杯より2週間後に行われるので、ローテーションが楽だということと、古馬牡馬より4kg軽い53kgの斤量、それからオークスで圧勝した舞台ということも考えて結論を出した」と語っている。
さらに、「かなわないと思えば、女王杯に使っている。牡馬一戦級と対戦したことがないというが、互角の勝負ができると思うし、勝つチャンスがあるとみている」と述べ、自信をみなぎらせている。
この時点で、3歳牝馬がジャパンCを勝った例は1つもない。1996年にファビラスラフインが2着に来たのが最高だ。もしジェンティルドンナが勝てば、ジャパンCの歴史、いや日本の競馬史に輝かしい新たなページが加わることになる。
この年のジャパンCの注目点は、これだけではなかった。大きな注目を集めたのは、前年の牡馬3冠を制し、直前の凱旋門賞(G1)ではクビ差の2着と大健闘したオルフェーヴルが参戦。ジェンティルドンナとの「3冠対決」と謳われた。さらには、その凱旋門賞に勝利したソレミアが来日。また、春の天皇賞(G1)を勝ったビートブラック、秋の天皇賞(G1)を勝ったエイシンフラッシュなど、錚々たるメンバーが名を連ねていた。
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