2013年、5歳となったオルフェーヴルは、初戦の大阪杯を快勝。その後体調を崩したため、宝塚記念を回避したが、心配された2度目のフランス遠征には、予定どおり出かけることとなった。
フランスの地で、オルフェーヴルと共に戦いたいと願った池添氏は、ロンシャン競馬場での騎乗経験不足を補い凱旋門賞での騎乗を目指すべく、日本でのレースを棒に振ってまでフランスへ遠征。だが、その努力は報われることなく、2013年もフォワ賞、凱旋門賞ともにスミヨン騎手が乗ることとなった。
この年のフォワ賞でも、後続を3馬身突き放して、オルフェーヴルが圧勝。ゴール前では、スミヨン騎手が手綱を抑えて後方を振り返る余裕すらみせていた。上出来すぎるほどのレース。今年こそは去年のリベンジを果たせるかもしれないと、スミヨン騎手も、池添騎手も思ったことだろう。
そして迎えた10月6日の凱旋門賞。この年はダービーで勝利し、ロンシャン競馬場のニエル賞にも勝ったキズナも参戦していた。日本の馬が2頭も出走することから、わざわざフランスまで応援に駆け付けたファンも多く、入場者5万人のうち、6,000人近くを日本人が占めた。
今度こそ、オルフェーヴルの凱旋門制覇が見られる。その期待に胸ふくらませていたのは、日本から声援を送っているファンも同じだ。だが、2度あることは3度あるという諺は、オルフェーヴルの女難のことを指しているのか。またもオルフェーヴルの前に立ちはだかる牝馬が現れたのである。
今回の最大の敵はフランス生まれ、フランス育ちのトレヴだった。彼女は麗しい顔立ちからは伺い知れないほどの鋭さを備え、2013年のディアヌ賞では、レコードタイムを叩き出した、最強の牝馬である。
だが、オルフェーヴルだって気合十分だ。この日のために、しっかりと準備してきたという自負もある。
そしてレースは始まった。まずオルフェーヴルは、
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