第3章までは21世紀以降の馬にスポットライトを当ててきたが、ここでは平成初期、さらには昭和まで時計の針を戻し、「血統」と「人気」を語る上で外すことのできないアイドルホース2頭に触れてみたいと思う。
日本の競馬史に残るスターホースであるハイセイコーとオグリキャップ。ともに地方競馬出身という点から「雑草」「野武士」のイメージで語られる2頭だが、その血統背景は大きく異なる。
上記の「雑草」的なイメージから特に若いファンには、ハイセイコーも当時のマイナー血統という出自を持つと思っている人もいるかもしれないが、実のところはそうではなかった。父チャイナロックは1973年のリーディングサイアー(ハイセイコーは1970年の生まれ)で、“怪物”の異名を持ったタケシバオー(1965年生まれ)を既に出しており、母ハイユウも地方競馬で16勝を挙げた活躍馬。エリート中のエリートというほかない血統の出身だった。
山野浩一氏の『サラブレッド血統事典』のチャイナロックについての項には多くの代表産駒の馬名と「ハイセイコー、タケシバオー、アカネテンリュウ、メジロタイヨウなど多くの名馬を出した。短距離でのスピードも長距離でのスタミナも優れた万能型」との説明書きがある。母父カリムについては「桜花賞馬タマミを筆頭に多くの活躍馬を出した名種牡馬」とある。
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