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調整に影を落とした猛暑による夏バテ

調整に影を落とした猛暑による夏バテ

第5章

調整に影を落とした猛暑による夏バテ

スペシャルウィーク (下)

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 激戦の疲れも取れ始め、長距離輸送も大丈夫と判断された7月17日、スペシャルウィークは北海道のノーザンファーム空港牧場へと放牧に出された。この年、北海道はかつてないほどの猛暑に見舞われていた。夏でもほとんど冷房がいらない北海道で、連日30℃を超える日が続いた。

 馬は寒さには強いが、暑さにはめっぽう弱い。夏に北海道へと移動する理由のひとつが本州の暑さから逃れるためだが、その北海道が猛暑では馬もたまったものではない。また梅雨がなく、からっとした天候が特徴の北海道だったが、この年の夏は雨も多かった。馬場が悪くなると滑りやすいので、強い調教はしづらい。室内馬場もあるが、屋外馬場と比べるとかなり小さな円形の馬場なので、スピードを出すことができない。

 湿度の高さは蒸し暑さにつながり、馬にはよりいっそう過ごしにくい気候になっていた。やがて、スペシャルウィークに夏バテの症状が見え始めた。馬は夏バテになると、目の下にクマができて、黒くなる。スペシャルウィークの目の下も黒ずんできてしまったのである。

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