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小田哲也「大原則は”最大パフォーマンスを重視する”こと」

小田哲也「大原則は”最大パフォーマンスを重視する”こと」

第4章

小田哲也「大原則は”最大パフォーマンスを重視する”こと」

予想の極意

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【スポニチ万哲の馬券プロセスとは?】

 ディープインパクト級なら、黙って◎を打つことも過去にありますが、現代競馬は基本的には能力差は紙一重。舞台設定、体調、枠順、あるいは馬場状態等で微妙に結果は変わってくるのは、今秋GIの結果も如実に物語っています。僕が穴馬を探し出す上での大原則は「その馬の最大パフォーマンスを重視すること」。極論すれば、負けたレースはあまり関係ありません。野球でいえば、本塁打か? 三振? のタイプでOK。着順タイプで言えば、2着や3着より1着が多い「1着型」が3連単全盛の昨今では馬券作戦も組み立てやすい。かつて追い続けたダイワメジャーも通算成績【9-4-5-10】でこのタイプ。あっさり負けることもある半面、人気が過熱沸騰しない分、配当的にもおいしかった。思えば、2006年の天皇賞・秋は毎日王冠を勝った直後なのに4番人気。3連単6万円台になりました。

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▲万哲プロセスの典型、06年天皇賞秋。2着には7番人気のスウィフトカレントが入り、高配当に。(撮影:下野雄規)

「S評価」の高価値レースを見抜くには、横の比較よりも隔年の「縦」の比較が大事です。今年6月の宝塚記念では幸運にも◎ラブリーデイで52万馬券を射止めることができました。◎を打ったポイントは、年初の中山金杯でした。57kg(トップハンデではありませんが……)を背負って、1分57秒8のコースレコード。それまでの中山金杯レコードが1分58秒5(09年アドマイヤフジ)なので、いくらJRAの芝育成技術が素晴らしくなったとはいえ、傑出しています。この際、GIIIで相手が弱かった(2着ロゴタイプなのでレベルも相当)とか横の比較は無益。序盤のペース次第で時計が大きく変動する長距離ならともかく、芝状態が安定した近年では短〜中距離の走破タイム(道悪時は話は別)は一定の指標になります。実はラブリーデイはキズナやハープスターを完封した続く京都記念(2分11秒5)もレースレコード。それまで京都記念の優勝最高タイムは02年ナリタトップロード(95年ワコーチカコ)の2分11秒8。年初2戦がGI直結の「高パフォーマンス」だったことになります。

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▲『傑出したタイムで、横の比較は無益』。“宝塚必勝のヒント”は中山金杯のレコードVにあった。(撮影:下野雄規)

 もちろん、宝塚記念は内回り2200m。「舞台設定」は重視しました。これといった先行馬は不在。前に行ける馬がレースを支配することが明白でした。スタートに不安を残すゴールドシップや、差しタイプのヌーヴォレコルト&ラキシスより前で競馬ができる利を高く評価しました。結果的に週末の雨の影響で、良発表でも高速決着にならなかったのは結果オーライ? 有馬記念出走時点で、ラブリーデイの通算成績は【9-3-2-12】。勝ちパターンになると、競り負けることが少ない典型的な「1着型」でもありました。

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