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プロサッカー選手 遠藤保仁――心に残る私の有馬記念

プロサッカー選手 遠藤保仁――心に残る私の有馬記念

第2章

プロサッカー選手 遠藤保仁――心に残る私の有馬記念

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なぜか思い浮かぶのは2着になったポップロック――遠藤保仁さん

「有馬記念はお祭りみたいな特別なレース」と語るガンバ大阪の遠藤保仁選手

 有馬記念といえば、僕の場合、思い浮かぶのは勝ち馬じゃないんですよね。今でも印象に残っているのは2006年のレース。ポップロックが2着に入った有馬記念で、ゴールしたときに、ジョッキーがガッツポーズしたんです。2着なのに、ですよ。あのレースではディープインパクトという圧倒的に強い馬がいて、テレビで観戦していたのですが、改めてディープはそれほど強い馬なのだと思い知らされましたね。

 そのディープインパクトも、前年の有馬記念では2着に沈んでいます。3冠を文句のない内容で制し、絶対視されていたディープをハーツクライが破った瞬間の、競馬場の唖然とした空気は画面からでも伝わってきましたし、そういう意味でいろいろあるのが有馬記念なんだなとつくづく思います。

 有馬記念は1年の締めくくりですし、お祭りのような雰囲気のある特別なレースなので、僕も本当は毎年行きたいのですが、なかなか難しくて。今のところ、中山競馬場に行ったのは2014年の1回だけ。引退レースとなったジェンティルドンナの姿を、生で見ることができたので感動しましたね。

 初めて競馬場に足を運んだのは20歳のとき。当時は、テイエムオペラオーが一世を風靡していました。競馬のことは何も知らず、ただ先輩に連れられて見に行っただけですが、馬の走る姿がなんとも言えないほどカッコ良かったのが印象に残っています。実際によく見るようになったのは、横浜フリューゲルスから京都パープルサンガ(現京都サンガF.C.)に移籍してからです。オフの日で時間があるときには、淀にある京都競馬場に足を運んでいましたね。

 競馬とサッカーで似たところですか? 例えばジョッキーはどこで仕掛けようかという駆け引きをしますし、サッカーも時間帯によってどう守り、攻めるかを考えています。勝負感というか、時として相手の裏をかくような戦術をとるのも似ているかな。馬の状態、サッカーだとチームの状態によって、絶対に勝てないと思われる相手に勝つこともある。ヒントになるところはありますよ。

 今では多くの競馬関係者とも知り合いになりましたが、なかでも池添謙一騎手とは同じ学年ということもあって当初から気が合いました。そこから福永祐一騎手や(武)ユタカさんらとも交友関係が広がりました。ただ予想となると別の話で、僕のなかでは「池添ジョッキーの一番人気は選ばない」と決めています(笑)。とくにオルフェーヴルの引退レースとなった2013年の有馬記念は印象深く、それまで凱旋門賞での乗り替わりなどいろいろあったなかで、しっかりと有終の美を飾った勝利だったので、それも思い出に残った有馬記念のひとつですね。

遠藤 保仁
ガンバ大阪所属のミッドフィルダー
1980年1月、鹿児島県生まれ。鹿児島実業高校から横浜フリューゲルス入り。京都パープルサンガ(現京都サンガF.C.)を経て、2001年からガンバ大阪。日本代表国際Aマッチ152試合出場。


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