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本格化の兆しを見せた“事件”

本格化の兆しを見せた“事件”

第8章

本格化の兆しを見せた“事件”

その“もどかしさ”が好きだった 〜ステイゴールド物語〜

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 G2ながら、海外でタイトルを取って帰ってきたステイゴールドは、帰国後、宝塚記念に参戦。ここはメイショウドトウ、テイエムオペラオー、さらにはホットシークレットにも後れを取り、4着だった。

 ステイゴールドは、生涯を通じてメイショウドトウとは9回、テイエムオペラオーとは12回、同じレースを戦っている。メイショウドトウには2度先着しているが、テイエムオペラオーとは12戦して12敗である。

 ただし、テイエムオペラオーよりも先にゴール板を駆け抜けたことが一度だけある。それが次走の京都大賞典(G2、芝2400m)である。鞍上は宝塚記念に続いて、後藤浩輝騎手が騎乗した。

 レースは7頭立て。テイエムオペラオーが2番手で進む。ステイゴールドはそのすぐ内にピタリとつけた。3コーナーでナリタトップロードが仕掛ける。そのぶん、直線では脚色が悪くなる。それを内からステイゴールドが、外からテイエムオペラオーがかわしにかかる。この2頭が抜け出したところで、ステイゴールドが外へと斜行。ナリタトップロードと接触し、ナリタトップロードの渡辺薫彦騎手が落馬。ステイゴールドは1位入線ながら、審議の結果、失格となってしまったのである。

 この一件にはさらにエピソードがある。馬主席でレースを見ていたテイエムオペラオーのオーナー竹園正繼氏が、レース後、急いで下まで降りていき、検量室前で後藤騎手を怒鳴りつけたのである。

「こら! おまえ、いったい何を考えて乗っとるんだ! もっと、フェアに乗れ」
「これで三度目だぞ。どうだ、身に覚えがあるだろう」
 竹園オーナーが「三度目」といったのは、後藤騎手がアドマイヤボスに騎乗して、テイエムオペラオーを徹底マークした産經大阪杯、そしてステイゴールドに乗って4コーナーでテイエムオペラオーの前をカットした宝塚記念、そして今回である。

 実際は、ステイゴールドが後藤騎手の右ムチに過度に反応して悪癖を出し、外にヨレたので、慌てて左ムチに変えたが時すでに遅しという感じだった。だが、竹園オーナーにとっては「三度目」。とても許しがたい、危険な騎乗に見えたのだった。

 テイエムオペラオーの岩元市三調教師は、このレースについて、少し違った見方をしていた。元ジョッキーの立場から、後藤騎手の乗り方に対して「もっと早く立て直すべき」としながらも、一定の理解を示している。

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